センター試験が終わり、自己採点結果を踏まえ改めてどこの国公立大を出願しようか悩んでいる受験生も多いと思います。
原則、国公立大学は分離・分割方式で前期/中期/後期それぞれ1校しか出願出来ないため、私立大のように何校も併願という訳にはいきません。
しかし、独自の入試日程により他との国公立大と併願が可能な国公立大が全国に2校だけあります。
それが、秋田にキャンパスを構える国際教養大学(AIU)と新潟にある新潟県立大学です。
どちらも公立大学で、他の国公立大が実施する分離・分割方式による一般選抜試験は行っていないことから併願が可能となっています。
まずはじめに国際教養大学(AIU)の特徴について。
AIUの開学は2004年で、設置学部は国際教養学部のみとなっています。
受験生の中には早稲田大学国際教養学部(SILS)と併願する人も少なくない印象があります。
センター試験はA日程が5科目・B日程が3科目・C日程が英語1科目のため、私立大志望でも受験することは出来ますがB日程の難易度ボーダーは毎年約90%と非常に高いです。
※河合塾2019栄冠めざしてvol.3ではセンターボーダーがA日程85%、B日程90%、C日程98%と設定されており、2次試験は英語・現代文の2科目でボーダー偏差値67.5です(C日程のみ2次試験は英語小論文)。
早稲田の国際教養学部と設立された時期も一緒と言えます。
大学通信『卓越する大学2019年度版』によると
教育充実度 第1位
(THE世界大学ランキング日本版2019)
グローバル教育に力を入れている大学 第1位
と、様々な大学ランキングで高評価を受けており、同じく大学通信の『有名企業への就職率が高い大学ランキング』でも有名企業400社への実就職率が高い大学として東工大、一橋大に次ぐ第3位にランクインしています。
キャンパスは秋田の山奥にあり、勉学に打ち込む環境は他のどの大学よりも整っていると言えます。
豊かな自然に囲まれた開放的なキャンパスで、ついでにAIUの中嶋記念図書館は24時間365日開館していて日本の美しい図書館第1位にも選ばれています。
そんなAIUですが、授業はすべて英語で行われます。
それも英語が話せればそれで良いという訳ではなく、大学HPにも「本学は英語を学ぶ大学ではなく、英語で学び英語で考える大学です」と書かれているくらいです。
※外国人教員の割合も半数を占めます。
授業も1クラスあたりの受講者数は平均18名と、開学以来一貫して少人数教育を徹底しています。
そして、AIUでは1年間の寮生活と海外留学が義務付けられています。
寮生活に関しては、入学後にキャンパス内の学生寮で留学生と共同生活をすることになり、ここでコミュニケーション能力や社会性を身に付けます。そして2年次以降も学生のほとんど(9割くらい?)が学内の宿舎で生活します。
小規模な大学ですが留学生も年間200人以上が学んでいて、キャンパス内留学生の割合は約20%となっています。
また、海外留学では50カ国200大学と交流提携を結んでおり、1つの大学に大人数送り込むことはせず各大学1~3人程度の少人数の派遣となります。
多くの学生が、2年次秋から3年次秋にかけて留学しているようです。
実際に企業も注目していて、大手企業も学生をスカウトするために直接秋田まで出向いて採用活動を行っているようです。
勉強が大変という話は入学した学生からよく聞きますが、都会から離れた環境に身を置いてグローバル感覚を養いたいという受験生にとってはオススメの大学です。
次に新潟県立大学についてです。
こちらはもともと短大で、2009年に県立新潟女子短期大学から4年制男女共学の新潟県立大学へ移行しました。
男女比は圧倒的に女子の方が多く、人間生活学部に至っては男子学生は各学年10人に満たない在籍数となっています。
「国際性の涵養」「地域性の重視」「人間性の涵養」を基本理念に置いており、設置学部は国際地域学部と国際経済学部、そして人間生活学部の3学部です。
国際地域学部では1年次に全学共通基盤科目と学部共通の基礎的科目を学んだ後、2年生から3つのコースに分かれて専門性を深めます。
学科は国際地域学科のみで、コースはこれまで「国際社会コース」「比較文化コース」「東アジアコース」「地域環境コース」の4コースでしたが2020年4月より「国際関係コース」「比較文化コース」「露中韓コース」の3コースへ再編成します。
余談ですが、地球環境コースは校内ではチカンと呼ばれていました…。
露中韓コースはロシア・中国・韓国の言語と文化を学ぶコースで、3つの言語の中から選択した言語を週6コマの専門的カリキュラムでマスターしていきます。
他コースの学生も週2コマからの露中韓の言語を選択し、それぞれの専門分野の学修とリンクさせながら学んでいきます。
特に外国語大学のロシア語学科以外で、ロシア語の講義をここまで多く履修出来る大学って全国的に見ても他に無いんじゃないでしょうか。
もちろん、ロシア・中国・韓国の各国と協定を結んでいる大学への派遣留学や交換留学の制度も整っています。
また、国際地域学部では中学・高校の英語の教員免許を取得することが出来ます。
次に国際経済学部について。
国際経済学部は2020年4月に新たに開設した学部です。
学科はこちらも国際経済学科1学科のみですが、2年次から「国際経済コース」と「地域経済創生コース」のいずれかに所属して専門科目の履修が始まります。
また、国際経済学科でも英語の他にロシア語・中国語・韓国語のうち一つを選択し履修していきます。
校内にはSALC(セルフ・アクセス・センター、通称サルク)という語学学習施設があり、メンターと呼ばれる英語の堪能な職員が学生の学びをサポートします。
外国語検定の対策を含め、語学を学ぶための教育環境は充実しています。
さいごに、人間生活学部では「育」をキーワードとする子ども学科と、「食」をキーワードとする健康栄養学科の2学科から構成されています。
食育という言葉があるように、「食」と「育」に関連性を持たせている学部と言えます。
子ども学科では幼稚園教諭や保育士の資格、社会福祉士の国家試験受験資格が得られます。
一方で、健康栄養学科では栄養教諭や栄養士の資格、管理栄養士の国家試験受験資格を得ることが出来ます。
入試に関しては、国際教養大学同様にA日程・B日程・C日程と3回の受験機会を設けており、どの学部学科もA・C日程であれば私立大の受験科目数で受けることが可能です。
3科目だとセンターは75%前後がボーダーとなっています。
別日程のため他の国公立大との併願が可能ではありますが、在学生の出身高校を見ると新潟または近隣の県から来ている学生が多いようです。
毎年就職率は非常に高く、特に地元就職には強い大学です。
小さな大学であるためサークル数こそ少ないですが、アットホームな環境で大学生活を送りたい人にとって併願先として考えるのもありですね。