今回は海に関する仕事について、どのような職業があるかを見ていきましょう。
■船長
客船や貨物船、漁船といった船の総責任者を指し、1級海技士という海技従事者国家資格に加えて一定の航海経験も求められます。
仕事内容としては航海のルートや運航計画を立てたり、天候などを考慮して最適な航路を判断して乗客・船員の安全を確保する役割を担うため、航海士以外にも通信士や機関士などの全員に指示を出しながら監督します。
■航海士
海技士の資格が必須となり、甲板部員などをまとめ船の操縦だけでなく航路の監視や貨物の積み下ろし、航海中の積荷の管理もおこないます。
甲板部員からスタートして段階的に一等航海士へとステップアップしていく流れが一般的で、最終目標である船長を目指します(船長が休憩を取っている間は1等航海士が船長の仕事を兼務します)。
また、職場としては海運会社・商船会社・海上保安庁・漁船などで、船の種類は貨物船・タンカー船・コンテナ船・クルーズ船・フェリーなどがあります。
※階級に合わせて必要な海技士資格の等級が上がり、
‣船長(キャプテン、マスター) → 一級海技士
‣一等航海士(チーフオフィサー) → 二級海技士
‣二等航海士(セカンドオフィサー) → 三級海技士
‣三等航海士(サードオフィサー) → 四級海技士
の資格が必要となります。
※航海士は交代制の24時間シフトをこなしながら働かなくてはならないため、シフト勤務の中でそれぞれが自分の階級に与えられた業務に当たります。
高校卒業後の主要なルートは、海上技術短期大学校や商船系大学(東京海洋大や神戸大、東海大など)への進学が挙げられます。
■機関士
海技士(機関部門)の資格が必須となり、船のエンジンやボイラー、発電機などを扱う機関部に属し、正常に動いているかどうかを保守・点検し、状況に応じて燃料の補給なども行います。
航海士のように、まずは機関部員からスタートして段階的に一等機関士、機関長へとステップアップしていきます。
■造船設計
CADという専用のソフトを使って、船を製造するための図面を作ります(船体の全体を設計する基本設計と、パーツを設計する詳細設計とがあります)。
また、これまで造船業は男性が大半の職場でしたが最近では設計をはじめとする技術部門で活躍する女性も少しずつ増えているようです。
■造船製造
船の品質を支える大切な仕事で、造船所で設計図に従って船体やパーツを製造します。
鋼板の切断や加工をおこなってから、ブロックに組み立ててクレーンなどの重機でブロック同士を組み合わせて船体を造り、高度な溶接の技術なども求められます。
■水先人
多くの船が行き交う港や海峡、内海で船を安全に航行させるために船長をサポートする仕事です。
該当する区域の環境を熟知していることが求められるため、日本では職務を行う区域(水先区)ごとに水先人免許(国家資格)が必要となり、個人事業主として該当区域の水先人会に所属する。
その他にも小型船舶操縦士免許を取得して自分の船で漁をおこなったり養殖をおこなったりする漁師など、海に関係する仕事は多岐にわたります。
また、海運会社にも航海士・機関士といった船上で働く社員の他に陸上職としてオフィスで活躍する社員も多数いたりします。