2000年代に入り、短期大学は減少の一途を辿っています。
一昔前は財閥系の銀行や商社、大手メーカーの一般職と言えば名門短大の出身者が数多くいました。
しかし最近では受験生の4年制大学志向も強まっており、有名大学の学生で一般職を希望して入社する人も増えました。
今や少子化による18歳人口の減少も続く中、短大はなかなか厳しい状況と言えます。
ここ数年で話題に挙がったところでは、真っ先に思いつくのが2019年度以降の学生募集を停止した青山学院女子短期大学ではないでしょうか。
これで、短大ブームを牽引してきた人気の「赤短」「白短」「青短」「明短」の全てが募集停止となってしまいました。
赤短 山脇学園短期大学、赤坂にあり赤短 白短 学習院女子短期大学、目白にあり白短 青短 青山学院女子短期大学 明短 明治大学短期大学
そんな短大ですが、卒業後4年制大学へ編入をする人も一定数います。
また、短大と聞くと女子大に併設されているイメージを持たれがちですが、そうでないところもあります。
では、首都圏有名大学の短期大学で特徴的なところをいくつか見ていきたいと思います。
まず、國學院大學です。
國學院大學には國學院大學栃木短期大学と國學院大學北海道短期大学部があります。
その名の通り、栃木と北海道に位置する短大ですが、今回は栃木を参考にしていきましょう。
コースは2学科5フィールドとなっており、出願の際に希望を出します。
メモ
日本文化学科:「日本文学」「言語文化」「日本史」の3フィールド
人間教育学科:「子ども教育」「生活健康」の2フィールド
ここで注意したいのが、フィールドによっては國學院大學への編入可能な学部が絞られてしまう点です。
日本文化学科 日本文学フィールド
→文学部日本文学科/中国文学科、神道文化学部神道文化学科
日本文化学科 言語文化フィールド
→文学部日本文学科、経済学部経済学科/経営学科、神道文化学部神道文化学科
日本文化学科 日本史フィールド
→文学部史学科、神道文化学部神道文化学科
人間教育学科 子ども教育(小・幼専攻)
→人間開発学部 初等教育学科
注意ポイント 人間教育学科生活健康フィールドでは、國學院大學への推薦入試は受けられません。
2019年度入試では実にここから國學院大學に60名が合格しました。
短大は國學院大學の入試結果を見てから考えたい、という人には國學院大學受験者対象入試という入試制度も取り入れています。
次に、日本大学です。
日本大学には佐野日本大学短期大学と日本大学短期大学部があります。
佐野日本大学短期大学も栃木で、特徴として総合キャリア教育学科の中に様々なフィールドが用意されています。
そして編入コースを設けており、編入希望者はフィールドでの学びに加えてこのコースを選択し試験に備えて準備をしなければなりません。
日本大学との教育連携も強化している点から、編入を志す学生からすると心強いですね。
もう一方の日本大学短期大学部は千葉県船橋市にキャンパスがあり、短大にしては珍しく理工系総合短期学部として日本大学理工学部に併設しています。
設置学科は「建築・生活デザイン学科」「ものづくり・サイエンス総合学科」の2学科制で学べる分野は下記の通りです。
※生命・物質化学科は2018年4月入学を最後に募集を停止しています。
メモ
建築・生活デザイン学科:デザイン系、エンジニアリング系
ものづくり・サイエンス総合学科:機械工学、電気電子工学、情報科学、応用化学、物理学、数学、総合科学
驚くことに、ここでは卒業生の進路で最も多いものが編入学となっており、卒業生の約8割が日本大学理工学部を中心に4年制大学への編入を果たしています。
※なお、日本大学短期大学部にはビジネス教養学科と食物栄養学科もありますが、こちらは船橋ではなく静岡の三島キャンパスとなります。
さいごに、上智大学です。
上智大学短期大学部(英語科のみ)がありますが、場所は上智大学のある四谷ではなく神奈川県秦野市となります。
こちらは上記の2校と違って女子のみの募集となりますが、國學院大學・日本大学と同様に上智大学への特別編入学試験を実施しており、2019年3月卒業生のうち、24名が上智大学への編入学を果たしています(その他の4年制大学への進学者数を含めると68名にも上ります。
特別編入学の出願基準としては、学科ごとに定められているTOEIC等の外国語検定試験をクリアする必要があります。
と、ここまで関連校への編入学について見てきましたが、短大でも高校のような大学の「指定校推薦」の枠があったりもします。
もちろん、短大での学業面でも優秀な成績を収められるようしっかり頑張っていく必要がありますが、近年大学入試競争が激化する中でこうした編入から4年制大学を目指すルートを考えるのも選択肢の一つかもしれません。